ABOUT US

わたしたちについて

"救急医療は、急病や外傷の救急患者に対し、その種類や重症度に応じた総合的判断に基づき、必要に応じて他科専門医と連携し、迅速かつ安全に急性期患者の診断と治療をおこなう医療です。急病や外傷で、複数臓器が急激に機能不全におちいる状況の中で、初期治療から根本治療、そして集中治療へシームレスな橋渡しが必要であり、救急科専門医はチーム医療の中心的役割 (Coordination & Command)を担い、これを正確かつ迅速に実践します。この中心的役割を担って、理論的根拠に基づいた救急医療を展開できる人材を育成し、社会に輩出することを当教室は目指しています。救急医学の学術研究は多岐分野に渡りますが、急性疾病や多発外傷による侵襲免疫学、重症化の病態生理学、および中毒・薬理学を対象にします。本学の学是は「実学の推進」です。したがって当教室では、臨床現場への活用が望まれ(かつ見込まれる)対象にスポットをあてた研究を推進します。救急医療への応用を念頭に置いた病態生理の解明を、当教室は救急医学研究の基本理念としています。
近畿大学病院救命救急センター(Kindai Critical Care Medical Center、通称 CCMC)では、様々な病態と重症度の患者に対して、急性期に必要な病院前救急診療(ドクター・カー)からERでの初期診療、そして集中治療まで、幅広くかつシームレスに診療しています。 救命救急科は年間約700例の重症救急患者を受け入れています。そのうち、重症頭部外傷を含む多発外傷が約35%、病院外心停止(Out-Of-Hospital Cardiac Arrest: OHCA) が約20%、緊急手術を要する急性腹症や特殊感染症が約15%、熱傷、敗血症、中毒が全体の約15%を占めています。

救命救急の仕事は、大変やりがいがあります。当科の専門性はバライエティに富み、広い守備範囲をもって多くの患者を救うため、チームの一人ひとりが全力を尽くしています。一方で、女性医師の活躍と、古いしきたりにとらわれない柔軟な、シフト制による労務環境の整備を目指しています。

我が国の救急医学は長年にわたって、重症救急患者(3次救急医療)を中心に臨床展開してきました。しかしながら時代は変わりつつあり、当院においても救急災害センターの組織再編により、2017年度よりER部門も当教室の責任範囲に入りました。ERには年間1万人の患者が受診し、そのうち救急車の受け入れ台数は7,000にのぼり、この数は全国の大学病院の中で群を抜いています。そのため当院の初期研修医は北欧型のER、つまり、あらゆる重症度の救急診療にたずさわり研磨することができます。また、当センターはスタッフの労務環境をととのえつつ、あらゆる重症度の患者をシームレスに対応できる救急部門へ変革していきます。当教室では、診療・研究・教育のバランスを保ちつつ、救命救急という重要な仕事を継続して実践できる医師を、一人でも多く育成することが使命だと考えています。

また、地域に貢献できる救急医を育成する目的で、近畿大学奈良病院、医真会八尾病院、済生会野江病院、さくら会病院、城山病院、畷生会病院、永山病院、耳原総合病院、ベルランド総合病院、岸和田徳洲会病院、利尻島国保中央病院(以上順不同)の救急部門と連携して専門医プログラムを構築しています。未来は自分たちで創りあげるものです。救急医のあり方とは決して一つではないはずです。僕たちと救急医療の将来を考えませんか?そして、一人でも多くの患者を笑顔にできる、そんな未来を一緒に創り上げましょう。

篠崎広一郎

近畿大学医学部救急医学講座 主任教授

篠崎 広一郎

Message

篠崎広一郎
篠崎広一郎

近畿大学病院救命センターは南河内医療圏における救急医療の要として、1982年に開設されました。2013年12月より、重症病棟30床(CCU・心臓血管センター6床を含む)、後方病床とし ての急性期病棟30床(脳卒中センター12床を含む)、オーバーナイト病床10床、の合計70床を有する救急災害棟がオープンしました。

History

RESEARCH

当科で行なっている研究とオプトアウト

研究
Research

  • 診断的腹腔洗浄の実験的検討
  • 外傷性十二指腸破裂におけるサイトカインの変動
  • 重症急性膵炎に対する抗生物質・膵酵素阻害剤動注療法の有効性
  • ショック時のサイトカインの変動とその関連酵素の変化
  • 臓器不全におけるchemical mediatorの変動と急性血液浄化療法の関与
  • 腸管出血性大腸菌(EHEC)の感染メカニズムの解明
  • アセトアミノフェン(APAP)肝障害におけるIL-1レセプターアンタゴニスト(IL-1ra)の病態生理学的役割解析
  • 重度熱傷の病態の解明
  • 出血性ショックの病態生理
  • ショックモデル動物実験

GLOBAL

グローバルに向けて

近畿大学医学部の救急医学講座は、国際競争力をもった医師・研究者・教育者の育成をめざします。
アメリカでは、研究と臨床をこなす医師のことをphysician-scientistといいます。
主任教授の篠崎は、アメリカのphysician-scientistとして10年間、救急医療と研究にその情熱を注ぎ、ニューヨークの大学病院でファカルティ・メンバーの一人として、第一線で活躍してきました。
その経験と人脈を活かし、世界をリードする多数のphysician-scientistと、近畿大学の救急医学講座を強い絆で結びつけています。当教室は、海外で活躍する日本人医師の育成を推進・応援します。

当教室の特別招聘研究者

Lance B. Becker

Lance B. Becker

近畿大学医学部 特別招聘研究教授

ニューヨークのZucker Schoolf of Medicine at Hofstra/Northwellの救急医学講座の主任教授であり、ミトコンドリア異常の病態解明と治療応用を専門とする。世界を牽引する蘇生科学の権威である救急医かつphysician-scientistであって、篠崎教授が米国で10年間、師事していたメンターのひとり。

Simon C. Robson

Simon C. Robson

近畿大学医学部 特別招聘研究教授

ボストンのHarvard Medical Schoolの免疫・侵襲学の教授で、Beth Israel Deaconess Medical Centerの麻酔学に籍を置く、消化器内科医かつphysician-scientist。酸素代謝・侵襲の分野だけでなく、細胞外のATPの機能を解析した"purinergic signaling"という新しい研究分野のパイオニアのひとり。篠崎教授が師事するメンターでもある。

Betty Diamond

Betty Diamond

ニューヨークのFeinstein Institutes for Medical Researchの分子病態研究所(Institute of Molecular Medicine: IOMM)を率いる所長であり、免疫学の教授。Harvard Medical Schoolを卒業後、膠原病内科医となったのちに、免疫学の教授となった。医学の世界最高権威の一つとされる、米国 National Academy of Medicineのメンバーのひとり。IOMMは篠崎教授が客員として在籍する研究所で、Diamond教授はメンターの一人でもある。

その他、近畿大学救急医学講座と関わりの深い海外の臨床医・研究者たち

David F. Gaieski University of Pittsburgh Medical Center, PA, USA, 救急医・教授
Mark J. Richman Long Island Jewish Medical Center, NY, USA, 救急医・講師
Thomas B. Perera North Shore University Hospital, NY, USA, 救急医・講師
Harshal Nandurkar Monash University, Melbourne, Australia, 血液内科医・教授
Chih-Hsien Wang National Taiwain University, Taipei, Taiwan, 心臓外科医・准教授
Atthasit Komindr King Chulalongkorn Memorial Hospital, Bangkok, Thailand, 救急医・部長
Sun-Jung Kim Feinstein Institutes for Medical Research, NY, USA, 免疫学博士・准教授
Ping Wang Feinstein Institutes for Medical Research, NY, USA, 侵襲学博士・教授
Willard Sharp University of Chicago, IL, USA, 救急医・准教授

近畿大学医学部救急医学講座を訪れた海外の臨床医・研究者

2023/5/2 Khizer Rizvi Hackensack Meridian Health, 救急医
2023/7/11 Lance Becker Zucker Schoolf of Medicine, 救急医・教授
2023/8/31 Justin Zhao UT Southwestern, 救急医
2023/9/11 Jonathan Gong Long Island Jewish Medical Center, 救急医・講師
2023/10/19 Kanami Mori North Shore University Hospital, 救急医
2023/11/22 Ray Hou Montefiore Health System, 救急医
2024/3/8 David Gaieski University of Pittsburgh Medical Center, 救急医・教授
2024/4/10 Priam Chakraborty Long Island Jewish Medical Center, 救急医
篠崎広一郎 篠崎広一郎 篠崎広一郎